いやもう2018年始まっちゃいました。私お正月を過ぎてベタで申し訳ないんですが、太りまして…完全に座った時にお腹ちょっと苦しいなーって今なってます。30代折り返したら本当に一切ヒネリ無しにおじさん化していくんですね。自分は、いや自分だけはおじさんにならないって思ってたのに。
その歳のせいなんでしょうか?最近はブラジルの音楽にハマっています。(たぶん関係ない)
ブラジルの音楽といえばボサノヴァやサンバを思い浮かべますよね?じゃあブラジルの人がみんないつもボサノヴァやサンバ聴いてノリノリで腰を振っているかっていうともちろん違います。日本人だからっていつも雅楽やお囃子を聴いているかというと聴いていませんよね?それと同じようにブラジルの人たちも日本の「歌謡曲」のような大衆曲を好んで聴いていたりします。そういったジャンルを”MPB”(Música Popular Brasileira / ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ )といって簡単に言うとブラジルのポップ・ミュージックです。
MPBとは
ムージカ・ポプラール・ブラズィレイラ(Música Popular Brasileira, MPB (エミ・ペー・ベー))とは、ブラジルの音楽形式(ジャンル)の1つで、英語的に言うと「ブラジリアン・ポピュラー・ミュージック」の意。
主に、1960年代後半、ボサノヴァ誕生以降の、ブラジルのポピュラー音楽をさす。ロック(ホッキ・ムジカ)など若者への訴求力の強い現代的な音楽が、当時流行していたTV音楽番組を通じてマスに流布したため、このように呼ばれた。
引用: Wikipedia
60年代当時のボサノヴァは若者からはアカデミックでおカタイ音楽と思われていたようです。またボサノヴァは白人中心主義の象徴のように思われており、そのカウンターとして「ロック」の荒々しいエレキサウンドに若者たちはみんな影響を受けていました。
そこでカエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルなど若い音楽家たちが作り出す、ブラジルの感性、ボッサやサンバなどの伝統的なリズムとロックなど西洋の音楽を融合させた音楽が流行します。そしてその波は映画・演劇・現代美術と波及していき、芸術運動「トロピカリズモ運動」と呼ばれ、若者の間で大きなムーブメントとなっていきました。
さらに60年代半ばにブラジルで起こったクーデターから軍事政権が誕生し、トロピカリズモに関わっていたしていたミュージシャンたちは反戦を掲げデモに参加していましたが、カエターノとジルベルトは逮捕され、2人はイギリスに亡命することになりました。
こうやってみると「反戦・ロック・ヒッピー」といったムーブメントはアメリカから世界中に広がっていったんですねぇ。そしてそのような背景から誕生したのがMPBと言われています。代表的なミュージシャンは先述した2人の他にもイヴァン・リンスやミルトン・ナシメントやマルコス・ヴァーリなどいますが、私が好きなのは女性シンガーのJoyce(ジョイス)です。
Joyce (ジョイス)
Instagramでも紹介しましたが、81年に発表した「Agua e luz (日本語で”水と光”)」がすごく好きで、しょっちゅう聴いています。MPBはロックに影響を受けているので荒々しいのかといったら全くそんなことはなく、穏やかでボサノヴァの要素もふんだんに盛り込まれています。
/ アルバム全編 /
/ 1曲目の「Monsieur Binot」/
タイトルの「水と光」の通りみずみずしくて、和やかで、陽だまりの中で聴きたくなる曲たちですよね。本当名盤です。
instagramでも書いてあるように、今70歳になるジョイスは若々しくて現役バリバリで歌っています。日本では毎年夏にブルーノートでライブをしていて、毎回コラボする相手を引き連れて来るようです。是非今年は行ってみたいですね。うーん本当いい声…。
ていうかタイトルと全然違う話になってきていますね。ご安心を。やっとここからが本題。MPBと時を同じくしてアメリカのソウル・ミュージックもブラジルに流れ込んでくるわけですが、そのきっかけを作ったのが「Tim Maia (チン・マイア)」です。
Tim Maia (チン・マイア)
チン・マイアは1942年リオデジャネイロ生まれ。10代の頃からバンドを組んでいて、17歳になる直前に音楽を学びに単身渡米します。アルバイトをしながら最新のブラックミュージックに触れ、新たなバンドを組みます。しかし63年にマリファナの所持が見つかりブラジルへ強制送還されてしまいました。
帰国後は盟友イルドンやカシアーノと交流を深めながら作曲活動を行っていましたが、なかなか認知されるまでに時間が掛かってしまいます。その後69年に発表した曲がエリス・ヘジーナに気に入られ、彼女のアルバム「Em Pleno Verao」でデュエットをするチャンスを手にしました。(9曲目 “These are the songs”)
このアルバムをきっかけに1970年1stアルバム「Tim Maia」が発表されると、アルバムがリオで売上24週連続1位となるヒットを果たしました。
その後はアルバムを次々に発表し、70年代初めのブラジリアンソウルブームを牽引する存在になりました。70年代後半にディスコブームが訪れるとまたそこでヒット曲を連発。フロアで一晩に何度もチンの曲が流れていたそうです。80年代は自分のレーベルを立ち上げ、イルドン作曲でヒット曲をリリースします。90年代は名曲のカバーを中心にアルバムを発表していきます。そして98年にライブ中に倒れ、そのまま帰らぬ人となりました。享年55歳の若さでした。チンはかなりの巨漢だったので死因は肥満が原因のひとつと言われている。
※参考にさせてもらったサイト:POKEBRAS ブラジル音楽情報,GQ
まぁざっとチン・マイアの紹介をしましたが、2014年には自伝的映画も作られ、数々の名曲・名演を残したチン・マイアはブラジル音楽界の偉人といっても過言ではないでしょう。その数多の作品の中で私の好きなアルバムで、世間的にも名盤と言われているのが「Tim Maia (1973)」です。
1stアルバムから1970~1973の1年毎に「Tim Maia」という作者同名のアルバムを4枚リリースしています。(同名アルバムはその後何枚かあります。全て同じアルバム名なので「Tim Maia 1970」とか最後に年を付けて区別しています)その4枚の中でもいい意味で肩の力が抜けているというか、軽やかな印象を受けます。その感覚は先述のJoyceのようにブラジルの明るい陽気や朗らかなブラジルの国民性をふわっと連想するんですよね。
Youtubeで聴いてキタコレ!本当素晴らしい!と思い、是非LPで欲しいなと思っていました。そうしたらHMV Recordshop渋谷でオリジナル盤発見!値段が10,000円…
うーーーん!
高いなぁ。「あ”!」って大きめな声で気合入れればなんとかなる値段だけど、この値段で何枚も買えちゃいますからねぇ。希少なのはわかるんですが、私の目的はレコードで音源を聴くことですからオリジナルじゃなくても良いわけで。改めてリイシュー(再発)盤が出ているか調べたらなんと直近2016年と2017年に再発されているではありませんか。
2016年に再発したのはブラジルのレーベル「Polysome」で、2017年は「Oficial Arquivos」(こちらもブラジルかな?)というレーベルから出ていました。ですが、リイシューもどこも売り切れのようでいくら探しても出てきませんねー….と思ったら!以前ブログでも紹介したJET SETで売っていました。
こりゃ買うしかねー!と思って早速注文です。JET SETは下北の店舗では買ったことあるんですが、オンラインは初めてです。
いやホントJET SETはほとんどのジャンルを網羅してるんじゃないですか?リイシューの情報出たらディスクユニオンかJET SET行けばだいたいは買えますね。
JET SET Onlineは東京だと3,000円以上、その他の地域だと10,000円以上で送料無料になります。なので東京に住んでる、東京で受け取れる方なら新譜アルバム買えばだいたいは送料無料になるんじゃないですかね?発送は佐川一択で、発送までに1~7日掛かるとのことでしたが、実際は翌日には発送完了メールが来ていました。早い!
その他店頭受取もできるようです。その際は下北・京都を選び、店頭での支払いになるようです。
実際の商品が届いた
ピンポーンと佐川のお兄さんから受け取る。注文から2日後には届きました。
こんな感じの梱包です。「JET SET」のテープがイカしてますね。
慎重にパカっとあけると、お!これだ!ん?…あ、裏ジャケですね。
ババーンと恋い焦がれていた「Tim Maia 1973」です。JET SETは「Polysom」からリリースされた2016年のリイシューをストックしていたんですね。
180gのいわゆる「重量盤」というヤツっすね。黄色いシールのところはポルトガル語で読めないんですが、「アートワークは当時のオリジナルと同じだよ」的なことだと思います。たぶん。
そして履いてるジーパンで開き口をゴシゴシ擦ってシュリンクを破らないように開けます。(DJ気取ってる風)出てきた中袋はいたってシンプルで緑のバックにロゴオンリーですね。
うん。新品はプチプチノイズもなく良いですねー。ただ、オリジナル盤を聴いたことないんですが、なんか出力が小さいような気がしないでもない…。コレ前も記事で書いたんですが、やっぱり当時のレコードに比べて現代のレコードの方がマスターのレベル低いような気がしますね。どうなんでしょ?今の機器にあわせてるのか、それとも私の気のせいか。
まぁでも十分過ぎるくらい良い音で本当大満足です。
まとめ
実はこのブログで機材のことは紹介しても音楽自体をここまでガッツリ紹介したのは初めてです。何故かというと、やーっぱり音楽の趣味って人それぞれで、同じアーティストが好きでも、曲や関係するアーティストになるとちょっと違うんだよなーとか、ディティールまで掘り下げると若干違ってたりすることも多く、私自身音楽を紹介するブログを読んでいても、ドンズバで好きなアーティストや曲もろ被り!みたいなことってそこまでないんですよね。
大枠ではほぼほぼ合ってるのに、ディティールになると違う感じがなーんか気持ち悪かったりしちゃうんです。あと単純に押し付けがましいかな?とか考えてしまうということもあって、あまり音楽というか”ソフト”の方を紹介する記事はあえて書かなかったんですよね。しかもネットで数時間調べれば出てくる情報ですし。
でもこれが自分が全く知らないジャンルになると話が変わってくるんですよね。素直な気持ちで入ってくるというか。なので今回はブラジルの音楽などに興味がない方がへぇーそうなんだ。と言ってくれるかもと思って書いてみました。反響があまりなかったら今後考えます。笑
まぁ実のところ、ただ単に素晴らしいアルバムに出会えて、念願のLPも買えて、JET SETの発送が早くて嬉しかったっていうのが記事にした理由です。笑
本当は音楽だったり、本だったり、映画だったり紹介したいコンテンツは沢山ありますので、今後様子をみながら紹介していければなと思います。でもこの時代のブラジル音楽は本当素晴らしいんで興味ある方は是非聴いてみて下さい。
アントニオ・カルロス・ジョビンの「WAVE」のモノ+デモ盤も最近ゲットしたので当分ブラジル熱は冷めないと思います。
PS
以前レコード針が折れてしまってカートリッジ買い換えようって記事を書いたんですが、そうです…最近替えました。詳しい方なら写真見て「あーアレね」ってなってるかと思いますが、今度改めて記事にしたいと思います。