本当にここ2~3年のコーヒーブームはすごいですね。いや、冗談抜きでコーヒー屋さんエグい増えましたよね。街歩いてると、ここにできたんだ。あっここにも。ここにも!みたいな。こんなに増えて今後大丈夫か?と余計な心配をしちゃったりします。
ただなんとなくですが、その盛り上がりも清澄白河へ”ブルーボトル”が出店したあたりをピークに現在は一段落した印象があります。それでも”猿田彦珈琲”は調布に焙煎所兼店舗が出来て、焙煎風景を見ながらコーヒーを楽しめるらしいです。猿田彦勢い凄いですよね。
そんな私も大のコーヒー好き…いや、コーヒー中毒者でした。”でした”と過去形なのは、30代の前半まではアッパーな飲み物を飲みまくって働いたり、遊んだりしていました。笑 ですが30代半ばになってくると、このブログを見てもらうとわかるんですが、植物などの癒やしを求めるようになっていって、精神的にも仕事や人間関係など、広くは自分の生活自体見つめ直すようになってきたんですよね。このブログを始めたきっかけでもあります。そうすると、アッパーなものよりどちらかというとダウナーというかCalm downなカモミールなどのハーブティーを最近では好んで飲むようになりましたね。笑
かといってコーヒー自体は大好きで、量を抑えてはいますが毎日飲んでいます。コーヒーが好きな人は沢山いますが、ハマってくると、どこどこのお店のコーヒーが美味しいとか、どこどこの豆が良いとかこだわり始めますよね。私の場合、もちろんそういうこだわりはあるんですが、本当に好きなのでコンビニのコーヒーでも、缶コーヒーでも飲みます。美味しいコーヒーが無いなら飲まない!っていう事は無く、美味しくなくても飲みたい!ってなっちゃいます。本当にジャンキーっス。
コーヒーを好きになったきっかけ
コーヒーは子どもの頃から好きでした。家が自営業で、休憩時間に両親と従業員の人達でコーヒーを飲むんですが、それに私はコーヒーをめちゃくちゃ甘くしてもらって、一丁前な顔して飲んでいたのが原体験です。
そして時は流れ5年程前からコーヒーの焙煎に興味を持ちはじめて、調べてみたらいつもの悪い癖で
自分でもできるんじゃない?
と思って“手網焙煎”を始めたのがきっかけでさらに深みにハマり、手網焙煎と本格的な焙煎機がどのくらい違いがあるのか気になってしまって、最終的には焙煎機を買っちゃいました…。
焙煎機はフジローヤルの“ディスカバリー”という機種です。MAX250gの小型焙煎機ですが、ダンパーや冷却機が付いた本格的なものです。定価は50万円くらいするのですが、知り合いのツテで中古を(分割にしてもらいましたが)安く譲ってもらいました。結果的に買って大満足なんですが、今思い返すと相当クレイジーですよね…。笑
そこまで個人で揃えている人も少ないと思いますし、昔から少しずつ集めているドリッパーなどの器具類も結構ありますので、今後はコーヒー関連の記事も充実させていきたいなと考えています。
豆を挽く器具「コーヒーミル」
今回は”コーヒーミル”がテーマです。ミルは英語圏だと言わないようですね。”Coffee Grinder”(コーヒーグラインダー)が一般的みたいです。日本だとミルのほうが一般的なのでミルでいきましょう。
これが私の所有するコーヒーミルです。手回しミルが3つに電動ミルがひとつです。手回しミルは左から”ハリオ セラミックスリム”、真ん中が”ザッセンハウス ブラジリア”、右が”カリタ ミニ ミル”で、後の電動ミルは”BONMAC BM-250″です。
一口にミルといっても様々な種類が存在します。ミルの種類に関しては膨大な数のサイトで説明されまくっていますので割愛させてもらいます。今回はこの中でも”手回しミル”、さらにその中で”ザッセンハウス”のコーヒーミルについて紹介したいと思います。
この3つのミルはそれぞれ見た目などの違いはありますが、全て種類が違います。それは使われている”刃の材質“です。左のセラミックスリムは名前のごとく刃がセラミック製です。セラミックの特徴は刃の精度が安定しているのと、金属のようにコーヒーの油分で錆びないというのがあります。右のカリタのミルは刃が鋳物です。鋳物は型に金属を流し込んで作るので、大量生産向きで安価に作れる反面、軸が安定していなかったり、製品ごとの精度にムラがあります。そして中央のザッセンハウスのミルは硬質特殊鋼製で精度が高く丈夫です。そして刃が鋭利なので切れ味が違います。他の素材はコーヒー豆を擦り潰す感覚に近いのですが、ザッセンハウスの刃はザクザク切っていく感覚です。
それぞれセラミック/鋳物/硬質特殊鋼と刃の材質がによってメリット・デメリットがありますが、ザッセンハウスのミルは150年の伝統、職人が作り上げる工芸的な価値や使われる素材によって最高峰のコーヒーミルとされています。
ザッセンハウスとは
ザッセンハウスはドイツのコーヒーメルのメーカーで、先述した通り150年の歴史があるのですが2006年に倒産してしまい、その2年後に同じくドイツの調理器具メーカー”KUCHENPROFI社”に買収されて復活。日本での販売元はメリタジャパンが担当しています。
メリタジャパンホームページにはブランドヒストリーのようなものは無くて、ザッセンハウスの公式HPはドイツ語のみでしたので他のサイト様より引用させてもらいます。
ザッセンハウス社(zassenhaus)は1867年創業以来,挽くことにこだわりコーヒーミルやペッパーミルを作り続けてきたドイツの老舗ミルメーカー.ミル刃や筐体の設計・構造の良さはもちろんのこと,職人が一つ一つ手作りで仕上げることもあり世界一とも噂されるミルを作り続けてきた.
その秘密は擂り臼方式と呼ばれる構造にある.通常の手挽きミルの刃は鋳鉄やセラミックを用いている.刃先が鋭くないため石臼のように磨り潰すことになるが,ザッセンハウスのミルでは鋭い刃で豆を細かく切り刻む.円錐形の特殊鋼製の刃は大変鋭く,挽く際には摩擦熱による劣化を最小限に抑えてくれる.ミル刃は軸が固定されており,ひとたびコーヒー豆を挽けば均質で微粉が少ないクオリティの高いコーヒーグラウンドが得られる.粗さネジを調整することでエスプレッソまで対応できる.これは国内のメーカーにはない特徴. 国内の手挽きミルはほとんどが鋳鉄製で軸中心もでないものが多い.最近ではプジョー製のミルも人気が出てきているが,刃の精度はザッセンハウスが段違いに良いし微粉もより少なく挽くことが出来る.ミル部の構造は#175を除き,型式によらずほぼ同じ構造である.しかし部品の精度や組み付け方法は,型式や年代により異なる。
引用: 冨田疑研活動報告
(今年が創業からちょうど150年のアニバーサリーイヤーのようですね。素晴らしい!)
ザッセンハウス 「ブラジリア」
上記のようにザッセンハウスとは長い歴史があって、精密かつ丈夫で、職人が仕上げている工芸品だということが解って頂けたのではないでしょうか。そのザッセンハウスの中でもコーヒーミルが何種類かありまして、私の持っているのは、蓋付きでスタンダードなボックスタイプの「ブラジリア」です。
最上位モデルの「ラパス」と迷ったんですが、ラパスは結構大きくてしまっておく場所も限られているのでこの「ブラジリア」にしました。
蓋が付いたモデルで、ノブ?突起?をくるっと回すと蓋がスライドして開きます。蓋が付いているお陰でハンドルを回している時に豆が飛び出さずに挽くことが出来ます。蓋の部分は金のメッキが施してあって、高級感も増してとても綺麗です。(金メッキはマホガニーのみ)
ハンドル取っ手部分も木材で、使い込むと味が出てきます。ハンドルバーの付いている下にギザギザの”つまみ”があるんですが、それを回すことで豆の挽き目を調整します。そして挽いた豆を受ける引き出しですね。
コーヒー豆が”ホッパー”という豆受けにMAX50g入り、挽いた豆が引き出しにMAX30g入ります。一度に30g挽けて1杯8〜10gくらいなので3〜4杯分くらいですかね。
他のミルと挽きくらべ
今回はカリタのミルと挽きくらべてみました。一般的に豆を挽いた時に出る細かな粉を”微粉”と言いますが、微粉が多いと雑味が出てしまうのでなるべく少ない方が良いとされています。そして挽かれた豆の粒の大きさが均一かどうかがポイントです。
正直わかりませんね。笑
むしろ粒の均一さならカリタの方が良いですね。ただ若干ですが微粉はザッセンハウスのほうが少ないような気がします。これは先程も書きましたが、刃の違いが出ています。
ザッセンハウスは刃が鋭いので豆を切っていく感じです。ハンドルを回すと、例えば深煎りの柔らかい豆などは「サクサクッ」って本当に切っている感覚で気持ちいいです。その代わり浅煎りやアフリカの硬めの豆だと途中でガガッって引っかかったりもします。対してカリタの刃は鋳物で鋭さはありません。切るというより、すり潰していく感じです。その分ハンドルを回しても軽くて、途中で引っかかることもあまり無いです。
まとめ
こうやって比較すると、挽いた豆のみだと正直変わりません。じゃあ何が違うかというと、長い年月使った時の“耐久性”に出てくると思います。
カリタは刃が鋳物と書きましたが、鋳鉄だと柔らかいので使っていくうちに刃こぼれを起こす可能性があります。そしてハンドルの軸もグラつきがあります。回転軸の精度についてはよく他でも言及されていることで、軸がブレていると挽いた豆にバラつきやムラが出てきます。それも重要なのですが、軸がグラついているとそれを受ける部品が摩耗し、更にグラついていきます。そしてその他の部品にも影響が出てきて故障の原因になるんですよね。
その点ザッセンハウスは刃の材質も丈夫で切れ味が鋭く、そして回転軸の精度も高いので豆も安定して挽けるし、壊れにくいと思います。カリタのミルはザッセンハウスを買ってから使わなくなりましたが、長い時間2台を同じように使ったら耐久性の差が出てくる筈です。
そして何よりもザッセンハウスのプロダクトとしての完成度、ドイツ生まれの工芸品としての価値が高いので、使っていることに満足します。結局そこなんですよね。ツールとしてのスペックも重要なんですが、使っていて”気持ち良い“かどうかが本当に大事なような気がします。
工芸的な価値が高いので、マニアの間では”オールドザッセン”と言って古い年代のものだと製造国や刃の形状、木材の材質などが現行のものと違ってくるので、古い年代のものを積極的に集めるコレクターの方もいます。
そしてよく高級手回しミルで比較されるのが”プジョー”のミルです。知らない方からすると車のプジョー?と驚くかもしれませんが、プジョーのルーツは水車小屋からスタートして、その後製鋼の分野からコーヒーミル、それから自動車製造と変化していくので、むしろルーツとしては自動車より古いです。
私はプジョーのミルを持っていないので比較できませんが、ザッセンハウスよりも軽い挽き心地が特徴のようです。
最後になりますが、私がザッセンハウスを推す一番の理由が、一杯分くらいなら挽くのがメチャ早いです。友人がポーレックスのセラミックミルを使っていて、朝の急いでいる時だと挽くのに時間が掛かるから、電動のミルが欲しいと相談されましたがザッセンハウスをおすすめしておきました。そりゃそうです。ポーレックスのミルは持ち運びしやすくコンパクトなので刃の径も小さいし、セラミックなのでそりゃ時間かかります。(ポーレックスは手回しミルでもエスプレッソに使えるくらい細挽きできるのが売り)
電動は確かに早いし楽なんですが、置き場所に困るんですよね。コンセントの位置やスペースを開けとかなければいけませんし、機種によっては音の問題もあります。コンパクトなものの多くはプロペラ式なのでおすすめできません。(おすすめできない理由は個々で調べてくださいませ)
ザッセンハウスは使ってもらうとわかるんですが、ハンドルを回すとダイレクトに豆を切っていく感覚なので一杯分くらいなら、動かないようにグッと固定して一気にハンドルを回せば、10秒以内には間違いなく挽き終わります。焙煎後の豆を大量に挽いたりする以外は私はザッセンハウスを使っていますね。
言っておきますが、他のミルが決して価値がないというわけではありません。持ち運びのしやすさだったり、メンテナンスの楽さや、金銭的な余裕もあるでしょう。なので一概にザッセンハウス一択という訳ではなく、自分のコーヒーを飲むシチュエーションやライフスタイルに合わせて選ばれると良いと思います。
私の思い描くコーヒーのある風景にはザッセンハウスのミルは欠かせない存在なのでこれからも長く使っていきたいと思います。