寒いですね…。なんなんでしょう?この天気。昨日は11月中旬くらいの気温と言われ、今日は12月中旬くらいの気温って。じゃあ10月の気温ってどこ行っちゃったんでしょうね。季節の変わり目ですのでみなさんも体にお気をつけてください。
さてこのブログでも植物関連記事が多いですが、今回は違う角度で植物の事を書いてみようと思います。それは
ボタニカルアートです。
今ちょうど丸の内KITTE(キッテ)内にある「インターメディアテク」で特別展示『植物画の黄金時代――英国キュー王立植物園の精華から』というボタニカルアートの展示が開催中らしいです。すでに先発隊が行っているんですが、どうだった?と聞いたら「ちょっと微妙…」との返事に二の足を踏んでいます。あくまで個人の感想ですし、インターメディアテク自体がさほど大きい会場では無いのでボリュームに欠けたようです。
ですが、連続講演会『植物のアートサイエンス』という講演があって、そちらは気になりますねー。直近の10/22(日)はキューガーデンの植物画家の方がお話されるようですので時間があれば行ってみようかなと思っています。ていうかキューガーデンの公認植物画家に日本人の方がいるんですね!知らなかったー。ただ定員48名ですから難しそうだなぁ。
それと関連展示で、国立科学博物館で企画展『フローラ ヤポニカ—日本人画家が描いた日本の植物—』と、日本の植物学の父「牧野富太郎」の居宅跡にできた「牧野記念庭園」で雪斎・竹斎 - 英国キュー王立植物園帰国展 – が開催されているようなんですがこちらも非常に気になります。今回の日本のボタニカルアートというテーマに合っているし、今ボタニカルアートはタイムリーな話題ですね。(たまたま)
私もロンドンにに1年半ほど住んでいたことがあるんですが、キューガーデン行ったこと無いんですよね。行っておけば良かったなーと今になって後悔。
ボタニカルアートとは
さまざまな絵画の中には、植物の描かれているものが数多くあります。絵の背景までも含めると、どこかに植物あるいは植物の一部が描かれているもののほうがむしろ多いかもしれません。しかし、それらがすべて植物画と呼ばれているわけではありません。
野山で植物を観察し、その植物の名前を知ろうとする時、花の色や形、花びらやがく片の数、さらには葉の形やつき方をもとにその植物が何であるかを決めるでしょう。それは世界中に23万種以上あるといわれている花の咲く植物、すなわち顕花植物はそれぞれにこれらの花や葉の形や数が決まっていて、それによって区別できるからなのです。花は咲きませんが、コケやシダ、キノコなどについてもその形は植物によって決まっています。
植物画では、その絵を見て、その植物が何であるのか、確実にわかることができなければなりません。例えば、カエデの仲間を描こうとすれば、葉の形こそ、掌状から三小葉、単葉まで種類によってまちまちですが、花は放射総称(点対称)であり、花びらとがく片は離弁、雄しべは8本、雌しべは1本で、子房(果実になる部分)はがく片の付け根より上にあり(子房上位)、そして果実には2枚の翼があることではどの種でもたいてい共通ですから、そのように描かなければなりません。その植物の特徴となる花の部分がぼやけて描かれていたり、たとえ描かれていてもその特徴が本来の植物と異なっていては植物画とはいえないのです。植物画では、このようなそれぞれの植物の特徴を正確に表現することが必要なのです。もちろん、その芸術性についても追求しなくてはなりませんから、植物画はその正確性と芸術性を兼ね備えた絵画といえるでしょう。
引用: 筑波実験植物園
学術的な視点と、芸術的な視点が組み合わさっているのが面白いですよね。しかもどちらも無いと成立しないというか、緻密だからこそ芸術として美しいし、緻密さを求めると学術的にならざるを得ないという。一見反発しそうなのに成り立っている不思議な分野です。その点は動物画や昆虫画なども同じですよね。
ボタニカルアートを古書街”神保町”で探す
そんなボタニカルアートですが、家にも欲しいなぁと調べていたら、おそらく最も有名な植物画家の「ピエール・ジョゼフ・ルドゥーテ」の描いたバラの複製が額装されていたもので35,000円ほどでした。複製ですよ?額縁代なんじゃないのか?と言いたいくらい高いです。ポワトーという人の171年前の原本で18万円…。ルドゥーテの原本は値段に”お問い合わせ下さい“とだけ書いていました。怖ー!
ムリムリー!と思ってさらに調べていたら、神保町に「鳥海書房」という動植物専門の古書店があるらしい。なんか遠い記憶を遡ってみると、鳥海書房は神田古書センターというビルに入っているんですが、(どうでもいいんですが、そこの地下の”ボンディ”というカレー屋が有名で、いつも並んでいて入るの断念してる。)何年か前に一度入った覚えがあるんですよね。そして鳥獣画や植物画も売っていたような気がする…ということで行ってきました。
神保町というか日本ってこういう針の穴を通すようなピンポイント過ぎる専門店があって、本当凄いですよね。素晴らしいなと思うし、無くならないで欲しいなと願うばかりです。
鳥海書房は姉妹店があるんですが、今回は神田古書センターの本店に行ってきました。
出典: 靖国通り商店街連合会
これは入り口からの写真ですが、このように本がうず高く積まれていて、 右側にレジがあります。この写真中央の少し左のローテーブルのスペースに植物画が乱雑に置いてあります。基本的に古い植物画は単体での作品は無く、図鑑や画集を切り取ったものが売られています。100〜150年前はボタニカルアートというジャンルはありませんでした。あくまで写真の代わりという位置付けでしょうね。
ということで、探ってみると普通に18〜19世紀の100年以上前の植物画が置いてあります。綺麗に色も出ているし、よく考えると凄いことですよね。それが一枚一枚ビニールに入っているんですが、お値段はB5サイズくらいのもので3,000円ほどですか。でもよく見ると800円くらいのものがあって安いなぁと思って手に取ると、それらが明治時代に刷られた日本の植物画でした。
3,000円ほどで売られていたものは西洋の植物画で、緻密なタッチなんですが、日本のものは版の下絵が筆なのかなぁ?太い筆跡で豪快に描かれているものが多くて、インパクトがありました。西洋の18世紀頃の植物画は石版画なのに対して日本は木版画のようです。しかも画自体がイラストみたいで、テキストの配置がなんとなく雑誌のエディトリアルのような感覚でしたね。目的は同じはずなのに、国や時代によって印象が全然変わっていて面白いです。
この他にもA3や四つ切くらいのサイズのものもあり、そちらはお値段高めで、希少なものはガラスケースに入っていました。植物画だけではなく鳥や魚、動物画もありますし、写真では見えない右奥の方にも植物関連の古書もズラッと揃っています。今ではブルータスの別冊とかで植物のムック本とかありますが、昭和50年代に発行された観葉植物大全みたいな本もあって、当たり前ですがこの時代もプラントラバーたちがいたんだなぁと興味深かったです。
ということで私も日本のボタニカルアートを一枚購入。
明治時代に描かれた日本のボタニカルアート
ドーン!とパイナポーです!
実はこれが一番上に置いてあって、そのインパクトにやられました。配置といい発色といい、他にも物色したんですがこれが頭から離れず、結局これをレジに持っていっていました。笑 それと園芸界でもブロメリア科の植物が大人気ですし、私もチランジア好きなのでこれしかないと思いましたね。
書いている文字を見てみると、「鳳梨科」Brameliaceaeと書いています。鳳梨は漢字でパイナップルの事ですね。ちなみに台湾のパイナップルケーキは鳳梨酥(フォーリンスー)って書きます。Brameliaceaeは”o”じゃなく”a”なんですね。現在はブロメリア科のBromeliaceaeが学名ですが、ミスプリなのか昔はBrameliaceaeだったのか。どうなんでしょ?
下にはAnanas sativus, Lindl. あななす又ぱいんあつぷる又まつりんごと書いています。Ananas sativus, Lindl.はどうやら果実のいわゆるパイナップルの旧学名のようです。現在パイナップルはAnanas comosus (L.) Merr.が学名ですね。
このひらがなで「あななす」って書いているのがなんとも言えずキュンときます。まつりんごって。笑
西洋のボタニカルアートと比べるとやっぱり豪快なんですが、多色刷りで色もグラデーションが入っているし、スミで陰影付けているし印刷物としてリッチな仕上がりになっていますよね。このビビットな配色と、パイナップルのフォルムがポップでカワイイ!
ちなみにフレームはMUJIのオーク材のフレームです。これ本当オススメです。私も何個か他のサイズで使っているんですが、立て掛けるパーツと、壁に掛けるパーツ両方入っているのでどちらでも対応出来ますし、シンプルなのでどんな部屋にも合うはずです。木もオークを使っているので落ち着いているし、丈夫ですよ。
※下のリンクははがきサイズです。
まとめ
実は以前から部屋に絵や写真などの作品が欲しいなぁと考えていて、友人の紹介などでギャラリーに行って実際探していました。やっぱり無名な作家さんの作品でも値段はそれなりにするし、ビビビって(古い?)くるものもなかなか無くて、どうしようかと考えていたんですが、ボタニカルアートは絵としてのインパクトもありますし、さらに描かれている対象が植物なので、植物好きとしては自分のお気に入りの植物や、実際育てている植物を飾ってみても面白いと思います。
このように希少性が高いものでなければ手頃な値段で購入できるものも沢山ありますので、植物をフレームの中で育ててみる感覚でボタニカルアートを飾ってみてはいかがでしょうか?
※下のリンクははがきサイズです。
鳥海書房
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