みなさん音楽ってどうやって入手していますか?いや、最近だともはや入手すらしていないかな?
ちょっと前であればCD、それからiTunesなどのMP3の配信、今はストリーミングで、手元にデータすら残らないですよね。かくいう私もAmazonプライム会員なので、Amazon Musicで聴いてたりします。あれスゴくないですか!?会員だとウン十万曲(ウン百万?)タダで聴けちゃうんだから。それでたまたま昨日?なんですが、「Prime Reading」でしたっけ?今度は本も読み放題になっちゃうって。Amazonすごいなー。このなりふり構わない感。
そして、それと並行して2〜3年前からアナログレコードで音楽を聴くようになりました。
レコードを聴くきっかけ
この時代になぜ?と思われるかもしれませんが、私も数年前までは音楽も全部データ化すればいいじゃんみたいな感覚でした。実際周りの多くの人がCDを買わずにTSUTAYAでレンタルして、iTunesにリッピング(コピー)していましたし、CDを持っていてもプレイヤーで聴かず、PCに取り込んだ音を聴いていました。なのでかさばるし場所もとるので、引越を機に20代から少しずつ集めていたCDとアナログ数百枚を一気に処分しちゃったんですよね。
おそらく音楽自体から少し心が離れていたんでしょう。スッキリしたなぁなんて思っていたんですが、実は今働いている会社が音楽関連の会社なんです。まさか自分が音楽の分野で働くとは思っていなかったんですけど、以前よりは音楽に触れる機会は圧倒的に増えていきました。
それからしばらくして眠っていた音楽熱がちょっとずつフツフツと湧き上がってきて、20代は基本なんでも聴いていたんですけど主に90年代のUKロックを好んで聴いていましたが、30代でロバート・グラスパーなどのニュージャズ、ネオソウルを聴くようになってからは、そこから遡り古いソウルやファンクを掘り下げていきました。
そこからはラテンやアフロなどレアグルーヴなどに手を出していき、そうなるとCDより、そりゃレコード掘るでしょう!って感じで今に至ります。笑
レコードを聴くための必要な機材
実は20代の頃もレコードを少し集めていました。UKロックが好きで、主に”クリエーション・レコード”のアーティストに傾倒していました。その中でも「マイ・ブラッディ・バレンタイン(通称マイブラ)」が好きで好きで、現行で売っているCDでは飽き足らず西新宿のブート(海賊版)屋街に通ってはレアな音源を探していました。(今思うと狂ってましたね)
やっぱりブートなんで、CDだけじゃなくレコードもあればテープもあるし、DVDなんて出始めだったからビデオはVHSでした。
(マイブラの93年くらいにダブリンかどっかでやったLIVE映像(VHS)を¥4,000くらいで買ったことがあって、もちろんアンオフィシャルの記録用映像みたいなやつなんですよ。画質はガサガサだし、マイブラただでさえライブの照明が暗いから、メンバー誰一人目視判別できず、爆音で尚且つビデオカメラのマイクで録っているから音割れまくっていたのを友達と観て、それでもスゲー!なんて言っていたのは今じゃ良い思い出。)
未発表音源やライブ音源集みたいなのがレコードで売っていたりしたんで、そういうのを聴きたいが為にタンテを買いました。学生だったのでお金もアホみたいに無かったですから、安いオーディオテクニカのフォノイコが入っていて、フォノとラインを切り替えられるタンテを初めて買いました。
そうなんです。ここから本題。これからレコード聴こうと思っている方は覚えておいて欲しいのですが、ターンテーブル(略してタンテ、レコードプレイヤーのこと)は直接アンプに繋いでも聴けないんです。まずタンテとアンプの間に”フォノイコライザー(通称フォノイコ)“を挟まないといけません。
レコードの溝
出典: Piano Piano!
これからちょっとウンチクになりますが、レコードって左の写真のように音の振動を円盤に刻んで記録していくんですが、その時に低音域をバッサリカットします。
なぜかというと、高音は振幅が小さく、低音は振幅が強く出てしまうんですよね。例えばハウスやヒップホップなどの”ドッ・ドッ・ドッ・ドッ”みたいにキック(バスドラム)などの低音が強調されたジャンルの音楽を記録していくと、ドッの度に溝が大幅に振れてしまい、凄いジグザグの溝になっちゃうんです。そうなってくると、円盤に刻める溝の本数が減ってしまって、片面に1曲丸々入らないよ!とか4曲入れたかったのに1曲しか入んないよ!みたいな事態になってしまいます。
RIAAカーブ
出典: Wikipedia
そこでそういった事態を避ける為に、低域をカットして記録しています。じゃあ聴く時どうすんのよ?って思うかもしれませんが、聴く時にまた低域を持ち上げるんです。そうです。その役割をする機器が先述したフォノイコライザーになります。
そして先程バッサリカットすると言いましたが、厳密にはただ無造作に低域だけをカットしているわけではなく、”RIAAカーブ“という規格に則って音域を調整しています。高音域は振幅が小さく、ノイズの影響を受けやすいので高音域を増強して、逆に低音域は抑えて録音します。(右の図の青の点線が録音時です。) 再生する時は反対に、強めた高音域を抑えて、抑えた低音域を持ち上げます。(右の図の赤の線が再生時です。)
そうすることで最終的に出力された音の音域はフラットになり、私たちの耳には不自然にならず聞こえます。そういった理由からレコードを聴くためにはフォノイコが必要だって事が解って頂けたと思います。
それで話を戻すと、中には安いタンテなどフォノイコがすでに内蔵されていて、そのままライン出力でアンプに繋げることができます。ただタンテの中に入っているフォノイコなんてのはたかが知れているので、あまり品質は良くない場合が多いです。なので多少音にこだわりたい方は最低でもタンテとフォノイコを別々で用意するのが一般的です。(例えば去年発売されたPioneer PLX-500なんかはフォノイコの性能がすこぶる良いらしく、内蔵でも良い音出す製品もあるようです。)
機材選び
そんなこんなで私ももう少し良い音でレコードを楽しみたいなと思ったので、色々と機材を探してみました。ただタンテに関してはすでに決めていたものがありました。それがTechnics SL-1200(シリーズ)です。このタンテはご存知の方も多いと思いますが、世界中のDJに使われている超定番、ワールドスタンダードな機材でございます。
今度タンテの記事も書きたいので詳しくは省きますが、ダイレクトドライブ方式なので立ち上がりも早い、丈夫で壊れにくい、スタビライザーや衝撃吸収ゴムで振動に強いなどの理由で世界中のクラブに設置してあり、DJじゃないピュアオーディオ好きの方からも愛されています。私もタンテはやっぱりSL-1200でしょう!と思って状態の良い中古を探してみました。
SL-1200は初代からMK6まで製造されて、2010年に一旦生産終了になりますが、その後復活して!と世界中からラブコールを受けて、2016年にテクニクス50周年記念モデル「SL-1200 GAE」が発売されます。しかし1台30万円というなんじゃそりゃな価格で、みんな買えねーよ!と大ブーイング。その後最新機種の「SL-1200 GR」は定価15万で半額くらいに安くなったけどそれでもまだ高いですよね。
今はDJユースというよりハイエンドオーディオ寄りの機材になってしまいました。なので現行以外の機種を探すとなると、生産中止なので当然中古で探すしかありません。そこでお馴染みのヤフオクで探してみたところ、綺麗なSL-1200 MK3Dが2万半ばくらいで出品されていて、それを落札しました。前のオーナーさんはDJではなく、ピュアオーディオ愛好家だったので、大切に使っていたようで本当に状態が良く、MK3Dは1998年発売で20年近く経っているにも関わらず全く動作も問題ないですし、壊れそうな雰囲気も皆無です。本当に良い買い物しました。
プリアンプの代わりにDJミキサーという選択肢
そして問題のフォノイコライザーですが、選択肢としては”フォノイコ単体”、”(フォノイコ搭載)プリアンプ”、そして”DJミキサー”です。フォノイコ単体は本当にピンキリですが手頃なものだと1万円くらいからあります。そしてプリアンプですが、DAC(オーディオIF)に接続しようとしていたので、別にアンプじゃなくてもいいんです。
そして最後のDJミキサーなんですが、DJがタンテを使う時にミキサーに接続するので当然ミキサーにもフォノイコが入っています。そして調べると、これまたDJじゃないピュアオーディオ好きの方々もプリアンプ代わりにDJミキサーを使っているらしいではないですか。どうやらEQで音域調整できるし、中途半端なアンプよりミキサーのほうが全然良い部品を使っている場合が多くて音も良いし、何よりDJたちがガシガシ使うんで丈夫な作りになっていて壊れにくい。
そんなことを聞いたので気付いたらDJミキサーを探していました。
その中でも結構使われているのがALLEN&HEATH XONE92です。
ALLEN&HEATHというイギリスのメーカーなんですが、DJミキサーだけではなく高性能な”コンソール(PAやレコーディングにも使われる多チャンネルのミキサー。通称「卓」)”も製造しているので品質は最高です。ただ定価で20万円近くするので、もう少し費用抑える場合は同じXONEシリーズで最新機種のXONE:43、もしくはDAC付きのXONE:43Cが良さそうです。
そしてキングオブDJミキサーといったらこれでしょう。伝説のDJ”ラリー・レヴァン”がパラダイス・ガレージで使っていたロータリーミキサーの超名機UREI 1620です。
出典: DJ Quietstorm
(おそらく)聴いたことはないですが、1620特有の温かくて太い音が出るらしいです。何かの記事でテイトウワが、海外から送ってきてもらったレコードは全部1620通してRECしてるって言ってましたね。1982年発売で、現行品はありません。Soundcraftが”UREI 1620 LE”として復刻しましたが、同じような音は出せないですし、今ではLEも生産終了になっています。現在は中古で完全レストアしたもので50万円くらいします。おー怖っ!
RANE MP2016a
そして、ロータリーいいなぁ。カッコイイなぁ。って思い、他にも先程のALLE&HEATHのXONE:s2のロータリーモデルも考えたのですが良い状態のものが無く、E&S DJR-400もめっちゃ気になりましたが定価30万円で、中古をebayで探してみたんですが一切出てきませんでした。
それであーどうしようかなーやっぱりXone:92かなぁ?でもロータリーもいいなぁぁぁなんて考えていたら、(※注:DJじゃありません 笑) ヤフオクですっごい状態良さそうで、カッコイイミキサーを発見しました。それが「RANE MP2016a (&XP2016a)」です。
MP2016aはご覧のようにUREI 1620やBOZAKを意識した外観で、共通して横長ラックマウントタイプのロータリーミキサーです。
調べてみると、ロー(低域)の出方が特徴的で、キックがしっかり出るのでクラブでハウスや4つ打ちをプレイするのに向いているようでした。私は自宅で、且つハウスや4つ打ちをプレイしないので、どうだろうと考えましたが、確かYoutubeでこのミキサーをプリアンプにしてジャズを聴いている動画があり、普通に中高域も綺麗に出ていたと感じたので、入札してみようと決めました。
MP2016は3世代あって、初代はMP2016、2代目はこのMP2016a、3代目はMP2016sです。音質的には初代が良いらしいのですが、機能と音質で見るとこのMP2016aが最もバランスが取れているようです。
ラック上段がMP2016aで、下段はXP2016aといってEQとフェーダーの外部ユニットなんですが、これがセットで10万円切るくらいで出品されていました。結構競りましたが、10万円台前半でなんとか落札できました。そしてこれも届いてみたら、これまた綺麗で、並行輸入だと電圧が違ってたり、保証も効かないしなぁと思っていたんですが、しっかり”サウンドハウス”の直輸入品でしっかり保証書もあって、PSEマークも付いていました。
マスターのボリュームに多少のガリがありましたが、マスターは別のボリュームで調整するので全然問題ありません。いやまた良い買い物できたわー。
まとめ
なんとなんとここまで怒涛の5500字…
おもひでがぽろぽろどころかビッシャビシャなので前置きがまた長くなってしまいました。なのでまさかの前後半に分けます。実際の仕様やレビューはそちらでどうぞ。
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