DRIPPERS FILE Vol.2は直火式エスプレッソメーカーの開祖「BIALETTI(ビアレッティ)」のBRIKKA(ブリッカ)です。
コーヒーが好きな方ならおそらく直火式エスプレッソメーカーは「持っているよ。」とか「使ってるよ。」って方多いんじゃないでしょうか?ビアレッティは直火式エスプレッソメーカー「モカエキスプレス」を製造しているメーカーで、直火式エスプレッソメーカーといったら”モカエキスプレス”というくらい世界中で浸透しています。
他にもモカエキスプレスと同種の器具の事を”マキネッタ“と呼ぶ場合もあります。私もマキネッタと呼んでいました。あくまでモカエキスプレスは商品名なので、携帯音楽プレーヤーを「ウォークマン」と言ってしまうのと同じですね。
イタリアには各家庭に必ず置いてあるって言いますが、私はイギリスに1年半ほどいましたがイギリスでもかなりポピュラーでした。ビアレッティもエスプレッソメーカーではなく”コーヒーメーカー”という表記になっているんですが、イギリスでもコーヒーメーカーっていったらマキネッタのことを指すことが多いような気がします。今では世界的なサードウェーブコーヒーブームでイギリスもコーヒーショップ増えているようですが、私がいた10年前ではそこまで家庭でコーヒーを飲んでいる印象はなく、ハンドドリップなんて一部のマニアぐらいなもので戸棚の中にポツンとマキネッタが置いてある感じでした。
その昔からあるビアレッティのモカエキスプレスの改良版が今回紹介するブリッカです。
モカエキスプレスとは
モカエキスプレス(Moka Express、又はモカ・ポット:Moka pot、エスプレッソ・ポット:Espresso pot)は、伊・ビアレッティ社の商標で、沸騰した水の蒸気圧でコーヒーを抽出する方式の直火式のエスプレッソ・メーカーである。日本では、このタイプの器具をマキネッタ(macchinetta)と呼ぶ場合がある。
この器具はアルフォンソ・ビアレッティ(Alfonso Bialetti)により1933年に発明された。オリジナルの物はベークライト製の柄が付いたアルミニウム製であった。ビアレッティ社(Bialetti)ではモカエキスプレスの名称で知られる代表的なモデルを販売し続けており、現在はモカエキスプレスには1杯用から18杯用まで様々な大きさがある[1]。
現在では多くのメーカーがオリジナルのビアレッティ社製モカエキスプレスを原型としたモカ・ポットを製造している。各社のモカ・ポットはビアレッティ社製のものとは異なる外観をしているが、これらはモカエキスプレスと同サイズのガスケットを使用しているためビアレッティ社製の補修部品が他社製のモカ・ポットに使用できることもある。
ビアレッティ社(Bialetti)の英語のウェブサイトではこの器具をエスプレッソ・メーカーではなくコーヒーメーカーと称している。[2] ヨーロッパで広く普及しており、ロンドンのサイエンス・ミュージアムの様な近代産業美術博物館にも展示されているアイコン的デザインとして知られている。
ビアレッティ社があるイタリアではモカエキスプレスは多くの家庭にあり、マキネッタ(小型のコーヒー抽出器)といえばモカエキスプレスを指すほどである。
なお、エスプレッソと呼ばれるのはマシンで高圧抽出したコーヒーだけで、これらの直火式器具で作られたものは「モカ」と呼ばれ、全く別の飲み物として認識されている。また、しばしば「直火式エスプレッソ(stovetop espresso)」という語でも言い表される。
なお、ここで言う「モカ」の名称はコーヒー産地のモカを表すものではない。
引用:Wikipedia
出典:Wikipedia
まずモカエキスプレスとはなんぞやということですが、上の説明にもある通り沸騰したお湯の蒸気圧でコーヒーを抽出する器具です。
このgifメチャわかりやすいですね。笑
下の容器(ボイラー)に水を入れて沸騰させると、水蒸気が上にある豆の入った漏斗状のフィルターを通り、抽出されたコーヒーが噴出口から吹き出し上の容器に溜まるという仕組みになっています。
そして今回のブリッカなんですが、モカエキスプレスと基本構造は全く同じです。しかし最大の特徴が排出口の上に乗った錘(おもり)にあります。
そもそもエスプレッソはエスプレッソマシンと呼ばれる専用の機械で抽出されます。抽出方法もマキネッタと同じようにコーヒー豆に熱湯と圧力をかけるところは変わりないんですが、モカエキスプレスは直火で沸かすのに対して、エスプレッソマシンは電気の力を使ってボイラー内の水を沸かします。そしてモカエキスプレスは蒸気の圧力のみで抽出するのですが、マシンはポンプを使って約9気圧の圧力をかけて抽出させます。
エスプレッソマシンで高温・高圧力で抽出すると豆から出る油分やタンパク質で”クレマ“と呼ばれるきめ細かい泡が浮かびます。エスプレッソはこのクレマで味が左右されると言われていて、いかに良質なクレマを出せるかによってコーヒ豆の質やエスプレッソマシンのレベルが計られます。
話は戻ってモカエキスプレスは、直火式なのでポンプほどの高い圧力をかけることはできず、クレマを出すことはできません。エスプレッソメーカーではなくコーヒーメーカーと表記されるのも、あくまでエスプレッソではないということなのかもしれないです。
しかしモカエキスプレスを改良したブリッカは、排出口の上に乗っている錘がボイラー内の圧力をさらに上げる役割を担っていて、錘の重量以上の圧力がかかると錘を押し上げてブシュー!っとコーヒーが噴出する仕組みになっています。例えるとシャンパンの瓶の中の圧力が上がるまでシャカシャカ振り続けて、一定の圧力が掛かったら蓋をポーン!と開けるイメージです。なので錘がエスプレッソマシンのポンプの役割を擬似的に作り出しています。
じゃあエスプレッソが作れるのか?ちゃんとしたクレマが出せるのか?と聞かれたら…まぁ正直難しいんですが、モカエキスプレスよりエスプレッソに近いものが作れるようになります。
実際に作ってみた
まずは本体を見ていきましょう。
これがビアレッティの「ブリッカ」です。サイズは4カップで、デミタスカップで4杯分作れますよってことです。(120~150ml)
左がモカエキスプレスの2カップです。4カップは1回り大きい感じですね。18カップは高さ32cmあるみたいです。超デカイ!
本体に「Brikka」と「Moka Express MADE IN ITALY」の文字。おじさんのイラストカワイイですね。
下の容器(水を入れるところ)と上の容器(コーヒーが溜るところ)はネジが切ってあって、回すと着脱できる仕組み担っています。上の容器の底面はフィルターと回りがガスケット(ゴムのパッキン)になっていて蒸気をつなぎ目から漏らさないようにしています。
コーヒー豆を入れるフィルターです。下の容器に被せてセットします。
これは安全弁です。想定以上の圧力が掛かると、ここから圧力を逃がすようになっています。
上部は蓋になっていて、中央に穴が開いています。蓋を開けると中央にあるのが、ブリッカ最大の特徴である錘です。(正式には重錘式圧力弁と言うらしいです)
ではコーヒーを淹れてみましょう。
まずフィルターに挽いた豆を入れます。この際エスプレッソマシンのようにタンピング(豆をタンパーで押し固めること)する方いますが、私はスプーンなどで少し抑える程度です。例えば2杯分しかいらないって時でも、できることなら4杯分作ったほうが(個人的に)良いと思います。豆が少ないと水の量を調整しても薄くなってしまうので、フィルターすりきり一杯の豆を入れて、スプーンで軽く押さえるくらいがちょうど良いかと思います。(今回は撮影用なので豆は少なめにしてます)
フィルターを外して、下の容器に必要な分量の水を入れます(120~150ml)。そして再びフィルターをセットして、上の容器と下の容器を蒸気が漏れないように強く回しつけます。
コンロなど熱源の上に置いて火にかけます。水はそこまで多くないので強火にはしないで下さい。※注: 基本的にアルミ製はIH非対応です。ステンレス製はIHに対応していることが多いですが、必ず各メーカーに確認してから購入して下さい。
ポコポコいってきたなーと思ったらブシュー!と勢い良くコーヒーが吹き出します。モカエキスプレスはブクブク…ジワジワ…とコーヒーが出てくるのに対してブリッカは音を立てて噴出します。(表面に若干のクレマっぽい泡が)
「H2O」と刻まれているところまでが最大の水の量です。これ以上行くと吹き出した時にこぼれてしまう可能性がありますので気をつけて下さい。
コーヒーが出切ったら火を止めてカップに注いで飲むだけです。ちょっと見づらいですが、飲んだ後のカップの底に砂糖が沈んでいます。
飲み方はお好みで良いんですが、私はデミタスカップ(エスプレッソ用の小さいカップ)に注いで砂糖をガバッと入れて一気に飲み干しています。エスプレッソと同じ飲み方ですね。モカエキスプレスはエスプレッソとコーヒーの中間くらいの濃さになります。イタリアの家庭でも朝起きたらまずモカエキスプレスでコーヒー淹れて、砂糖多めに入れてグイッと一気に飲み干すみたいです。砂糖で血糖値上げて、カフェインで覚醒させてから学校や仕事に向かうんでしょうね。日本だと養命酒みたいなもんですかね。(違うか? 笑)
まとめ
今回正確にはコーヒードリッパーではないんですが…ビアレッティのブリッカを紹介しました。あまり珍しいものではありませんが、モカエキスプレスや他のメーカーのマキネッタ持ってても、ブリッカ持ってる方はそこまで多くないんじゃないでしょうか?値段もモカエキスプレスに比べて割高になりますからね。
でもエスプレッソマシンを買う余裕や、置くスペースが無かったりする方はブリッカはありだと思います。メンテナンスも殆どないですし、(ゴムパッキンが劣化するくらいですね。買っても1000円程度) かさばらないので食器棚にマグと一緒に置けると思います。モカエキスプレスよりもエスプレッソに近いコーヒーが手軽に飲めるのでおすすめですよ。
朝、気付けの一杯にブリッカで入れたコーヒーをグイッと飲めば、イタリア人の気分を味わえたり、味わえなかったりするでしょう。(主に後者)