みなさんコーヒーの抽出はどんな方法で行っていますか?オーソドックスなペーパーフィルターですか?もしくは渋くネルドリップでしょうか。最近増えてるフレンチプレスとか?
コーヒーを淹れる、すなわちコーヒー成分を抽出する方法は、コーヒーが発見された500年以上前から様々な方法が編み出されてきました。現在はコーヒーを淹れる際にドリッパーなどの器具を使って抽出するのが一般的です。そのドリッパーもメーカーや素材、抽出方法によって本当に沢山の種類があります。
今回から私が昔からちょこちょこ集めていたドリッパーたちがいくつかありますので、「DRIPPER’S FILE (ドリッパーズファイル)」と題して使用方法や特徴などを(小出しで)解説していきたいと思います。
抽出方法の種類
抽出方法の詳細な解説は昔から様々な所で、大勢の権威たちが解説されていますので、ここでは省かせて頂きます。ざっくりとだけ説明すると、イブリックなどの原始的な方法やエスプレッソなどの蒸気の圧力で抽出する方法を除いて、一般的にコーヒーの抽出方法は大まかに分けると透過(とうか)式と浸漬(しんし)式の2通りです。
透過式とはコーヒーの粉を熱湯にくぐらせ、フィルターなどで濾してコーヒー成分を抽出する方法です。ペーパードリップやネルドリップなどがこれに当たります。
透過式の特徴は紙や布などのフィルターで濾すので、雑味が抑えられてスッキリした口当たりや後味になることです。フィルターには豆とお湯を分離させる役割だけではなく、やはりコーヒーも農作物ですので、目に見えない豆の雑味だったり、えぐみなども含まれます。さらに微粉といってコーヒー豆をミルで挽いた際に出る細かいパウダー状の粉なんですが、微粉が雑味の元になったりします。それが豆本来の個性とも言えますが、そういった成分を省いて味を整えるのが役割です。ただ、金属フィルターなど目の粗いものは紙や布に比べて成分がダイレクトに出やすいです。
一方浸漬式はコーヒーの粉を熱湯で浸して成分を抽出し、その上澄みを飲んだり、目の粗いフィルターで豆とお湯を分離させて飲む方法です。フレンチプレスやサイフォン、水出しコーヒーなどがこれに当たります。
浸漬式の特徴は、透過式のようにコーヒーの粉を熱湯でくぐらせるだけではなく、一定の時間浸しておくので豆本来の味がダイレクトに味わえるところです。コーヒーの成分の中で豆が持つ香り成分を「アロマ」と言います。コーヒー豆もピーナッツやカカオなどと同じように多くの”油分“を含んでいます。そしてその油分が香り成分のアロマの元になっています。紙や布のフィルターで濾すとその油分もある程度一緒に濾してしまいますが、浸漬式は微粉などの雑味やエグみが入ってしまいますが、その代わり油分もしっかり含むので豆が持っている本来の味や香りを楽しめます。
これは良い悪いではなく好みです。コーヒーをスッキリ飲みたい人は透過式。コーヒー豆本来のワイルドな味わいが好みの人は浸漬式が良いと思います。最近よく耳にする”シングルオリジン“と呼ばれる単一農家、単一組合のブランド化された豆は、国や地域、栽培方法や精製方法などでそれぞれ個性が際立っていますので、その個性を味わうために欧米のカフェでは浸漬式のフレンチプレスなどで味わうことが多い印象です。
CLEVER COFFEE DRIPPER(クレバーコーヒードリッパー)
抽出の方法はざっくり分けて透過式と浸漬式の2種類あると説明しましたが、今回紹介するドリッパーは2種類の抽出方法どちらもいいとこ取りのドリッパー「Clever Coffee Dripper(クレバーコーヒードリッパー)」(以下クレバー)です。このドリッパーの特徴や使い方は後述します。
クレバーは台湾のE.K.International co.,ltd.という会社が開発しました。
abidと言うのはAbsolutely Best Idea Developmentの頭文字をからきている
同社の商標登録であり会社名ではありません。弊社が発売を開始する前からabidのトレードマークで販売されていた
透明色のスマートコーヒーメーカーも同社の開発品ですが、
クレバーとは別のモデル品です。混同を避けるため日本向けクレバーは透明色のブラウン色になっています。
混同され誤って購入され不愉快な思いをされないように
abidはメーカー名では無いことをおつたえしておきます。引用: センチュリー・フレンドの活動日記
クレバーは台湾生まれのドリッパーで、「E.K.International co.,ltd.」という会社が「HandyBrew」という屋号?部門?で開発・製造していて、日本での販売代理店は「有限会社センチュリー・フレンド」という会社のようです。Amazonなどでは「Abid Clever Coffee Dripper」という商品名で販売されていますが、上記のように「Abid」はメーカー名ではなくブランド名のようですね。こちらのブログを参考にさせていただきました。
そしてご存知の方は、あれ?透明じゃなかったっけ?と思うかもしれませんが、この写真のものは私が実際台湾へ旅行に行った際に買ったもので、黒のモデルは見たことがなかったので思わず購入しちゃいました。
上のブログにも書いてありますが、どうやら色々な会社のOEM製造もしているらしく、私が持っているものは「BLACK GOLD」というロゴがプリントされていますが、調べてみると台湾のコーヒー豆輸入会社のようです。(北京語が読めないし、HPはほとんど画像で作られていて、翻訳もできなかったので詳細は不明ですが)そこが製造を委託してBLACK GOLDブランドとして販売している感じではないでしょうか。なのでこれ持ってる人はなかなか珍しいと思いますね。画像検索しても引っかからないですし。笑
コーヒーをあまり飲まない方には台湾?って思うかもしれませんが、実は台湾のコーヒーカルチャーは今熱いんです。台湾は石垣島とほぼ同じ緯度で、亜熱帯の気候になりますが、実はコーヒーの栽培でも有名なんですよね。スペシャルティコーヒーブームで台湾のコーヒー栽培も見直され、私も飲みましたが「阿里山コーヒー」など品質やブランディングもしっかりされているし、台北市内にもおしゃれなカフェも多くて台湾のコーヒーカルチャーも盛り上がっている印象でした。
ではそんなクレバーのドリッパーを実際使ってみましょう。
実際にクレバーを使ってみた
ドリッパーには本体の他に”蓋”とコースターが付いています。
このドリッパー中央に付いているシリコン製の”弁”がこのドリッパーの最大の特徴です。見た目は普通の透過式のドリッパーなのですが、この弁が付いているおかげで、熱湯が流れ出ずドリッパー内に溜まる仕組みになっています。ということは浸漬式のドリッパーなのでしょうか?使い方を見てみましょう。
まずはペーパーをセットして挽いたコーヒー豆を入れます。私の持っているクレバーLサイズで、ペーパーは「カリタ 103」のサイズになります。クレバーは他にSサイズもあって、こちらは「カリタ 102」のサイズが合います。
豆の挽き方は”粗挽き寄り”が良いと思います。これも好みではあるんですが、コーヒー豆は細かく挽けば挽くほど表面積が増えるのでよく抽出されます。逆に粗く挽けば挽くほど表面積が少ないので抽出されにくいです。クレバーの場合は一定時間熱湯に浸すので、細挽きだと過抽出になりやすく粗挽きにしておく方が良いと思います。
粉とペーパーをセットしたら、そこへ85℃〜90℃くらいの熱湯を必要な分量注ぎます。そうしたらお湯と粉を馴染ませるように優しく4〜5回スプーンや竹ベラなどでかき混ぜます。(くれぐれもガシャガシャかき混ぜないで下さい!かき混ぜるというより馴染ませる感覚。)
かき混ぜたら蓋をして約4分間待ちます。
約4分経ったらハンドルを持って用意したコーヒーカップやマグカップの上に置きます。
するとドリッパー内に溜まっていたコーヒーが自動的に排出してカップへ注がれています。
実は先述した中央にある弁ですが、底面が上下するようになっていて、写真のように底面が押されると弁も持ち上がってドリッパー内に溜まっているコーヒーが排出する仕組みになっています。お風呂の栓が抜かれるようなイメージですね。テーブルなどに置いている時は、4つの突起のお陰で排出されることはなくお湯を溜めることができます。仕組み的にドリッパーより大きいマグやボトルには使うことができませんが、底面の大きさは直径約9cmなのでよっぽど大きくない限り一般的なカップで対応可能でしょう。
まとめ
コーヒーのハンドドリップって喫茶店のマスターやカフェの熟練のスタッフが一杯一杯丁寧に淹れているイメージありませんか?たしかに一般的な透過式のドリッパーはケトルからの湯量をコントロールしないと安定した抽出ができないんですよね。(家庭で楽しむ分には正直そこまでの技術は必要ないですけどね…。)
しかしこのクレバーは浸漬式のようにお湯をドリッパー内に一旦溜めるので、薄くしたいから2分とか濃くしたいから5分など抽出加減を時間で調節できます。さらにペーパーフィルターを使うので微粉もカップに入らないですし、透過式のようにスッキリした味わいになります。または豆の挽き加減を変えたり、フィルターの素材を変えることで簡単に様々な抽出方法を体験することが出来ます。ちなみに台湾のカフェはクレバー使っている所多かったですよ。
逆にいうと細かなコントロールはできないのですが、家庭で楽しむ分には問題ないですし、何より簡単に安定したドリップができるので、コーヒーをちょっとこだわってみたいなというライトな方などは値段も手頃ですし、とても良いドリッパーだと思います。おすすめのドリッパー「CLEBER COFFEE DRIPPER(クレバーコーヒードリッパー)」の紹介でした。